年を重ねると、体力の低下・関節の痛み・物忘れなどが重なり、今まで当たり前にできていた家事が急につらくなることがあります。
「できない=怠けている」わけではなく、暮らしの工夫が必要になるサインです。
まずは、親御さんの変化に気づくことからはじめましょう。
以下のチェック項目に、いくつ当てはまりますか?
- すぐ疲れて、休み休み家事をしている
- 買い物袋を持つのがつらそう
- 膝や腰に手を当てることが増えた
- 立ち座りに時間がかかる
- 同じ作業を何度も繰り返す
- ガスをつけっぱなしにしてしまう
- 「あとでやる」が増えた
- 片付けが進まず、部屋が散らかる

1つでも当てはまれば、家事負担を減らす工夫の始めどきです!
今日から始められる!高齢の親の家事を楽にする工夫

高齢の親が家事に負担を感じ始めても、小さな工夫だけで楽になることがあります。
いきなり大きな支援をしなくても、日常の中でできる見直しだけで十分。
まずは、今日から無理なく取り入れられる方法を見ていきましょう。
工夫①:事故につながりやすい家事は避ける

火を使った調理や高い場所の物を取る動作、重い荷物を運ぶ家事は転倒ややけどにつながりやすく、高齢者には大きな負担がかかります。
具体的には、次にような場面が事故になりやすい例です。
具体例
- ガスを使った調理
- 高い物干し竿に洗濯物を干す
- 重い鍋や、やかんを持ち運ぶ
- 踏み台に乗って、棚の物を取る
今日からできる工夫として、以下の工夫がおすすめです。
- ガス調理:①電子レンジ・電気調理器に切り替える ②IHコンロに変更
- 洗濯物:腰の高さ程度の低い、物干し竿を使う
- 鍋:軽量タイプに買い替える
- やかん:電気ケトルを利用する
- 収納:よく使うものは、手の届く高さにしまう

やり方を少し変えるだけで、親御さんの家事がずっと楽になりますよ!
工夫②:料理のハードルを下げる

料理は、「考える → 切る → 調理する → 片付ける」と工程が多く、高齢の親にとって負担が大きくなりやすい家事のひとつです。
各作業工程を少し工夫するだけで、ぐっとラクに料理ができるようになります。
- 下ごしらえの負担を減らす
- カット野菜や下処理済み食材を使う
- 冷凍惣菜・冷凍野菜を常備しておく
- 缶詰やレトルトも“常備菜”として活用
- 調理時間を短くする
- 電子レンジ調理を中心にする
- ワンプレートで完結する料理にする
- サッと温めるだけの食材をストック
- 作り置きをする
- 一緒に、週末2~3品の作り置きを作る
- 親ができる範囲だけ手伝ってもらう
- 食器に盛るだけにする

取り入れやすいものから、少しづつ挑戦してみましょう!
工夫③:買い物の負担を減らす

買い物は歩く・選ぶ・持つ・運ぶ…と、意外と体力を使う家事です。
重い荷物を持ったり、人が多い店内を移動するのは、高齢の親にとって大きな負担になりやすく、転倒や疲労にもつながります。
だからこそ、買い物そのものを“少しラクにする工夫”が役立ちます。
- 宅配サービスを利用する
- 米や水、洗剤などの重い物はネットスーパーで注文
- 日用品は定期配送に切り替える
- 買い物の頻度を減らす
- よく使う食品はストックしやすいものにする
- ”買い物に行く日”を決めてルーティン化する
- 買う物を迷わない仕組みを作る
- 常備しておきたい物のリストを作る
- 買い忘れ防止に「メモを冷蔵庫に貼る」も◎

家事を楽する仕組みをつくるだけで、親御さんの負担も、あなたの心配もぐっと減ります。
家事がつらくなってきた親に。暮らしを支える家電3選

高齢になると、掃除・洗い物・見守りといった日常の家事が負担になりやすくなります。
家事のやり方を整えるだけでも負担は減りますが、思い切って作業そのものを家電に任せると、さらに楽になるでしょう。
ここでは、今日から取り入れやすく、家事の負担を確実に減らしてくれる家電を3つ紹介します。
おすすめ家電①:ロボット掃除機

ロボット掃除機は「床掃除がしんどい」と感じ始めた高齢の親にとって、負担を減らせる家電のひとつ です。
高齢になると、掃除機を押して歩く・屈む・コードを扱う動作がつらくなりがち。
ロボット掃除機なら、スイッチひとつで家中を自動で掃除してくれるため、「重い掃除機を持つ」「屈む」などの負担がなくなります。
従来の掃除機はコードにつまずきやすく、転倒につながる危険があります。
ロボット掃除機は床を自動で移動するため、つまづいて転ぶ心配がない点でも安全です。
向いている人
- 床に物が少ない人(片付けがある程度できる)
- 掃除の頻度が落ちている人

重い掃除機を持ち歩かなくてよいため、足腰に心配がある方でも安全に部屋をキレイに保てます!
おすすめ家電②:食洗器

食洗機は、家事の中でも意外と負担が大きい食器洗いを自動化できる家電です。
高齢になると、両手で物を持ったまま立ち続けることがつらくなり、洗い物を後回しにしてしまう人も少なくありません。
食洗機を使えば、食器を入れてボタンを押すだけでOK。
洗い・乾燥まで任せられるため、体も時間の負担も大幅に減らせます。
向いている人
- 関節の痛みが増えている人
- 食器がシンクに溜まっている人
- 一人暮らし〜二人暮らしで食器量が多くない人

食器洗い中に手が滑ってお皿を割る心配もないので、安心ですね。
おすすめ家電③:ドラム式洗濯乾燥機

洗濯は「洗う・干す・取り込む・たたむ」と他の家事と同様に工程が多く、高齢の親にとって体力を使う家事のひとつです。
ドラム式洗濯乾燥機なら、洗濯物を入れてボタンを押すだけで「洗う→乾かす」まで完了。
水を含んで重くなった洗濯物を持ったり、干したりせずに済みます。
向いている人
- 物干し竿が高くて腕が上がりづらい人
- 腰痛・肩など体の痛みで、重いものが持てない人
- 指先に力が入りにくい人(洗濯ばさみが扱いづらい)

洗剤の自動投入機能があるため、洗剤の入れ忘れも防げます!
外部サービスを上手に使って、家事の負担を減らす

高齢の親が家事を大変に感じ始めたとき、家族だけでがんばり続ける必要はありません。
介護保険の生活援助や宅食サービス、家事代行などのサービスも、親御さんの生活を守る手段です。
ここでは、無理なく取り入れられるサービスを紹介します。
おすすめサービス①:介護保険の生活援助

介護保険には、「生活援助」と呼ばれる家事サポートがあります。
「掃除だけお願いしたい」「料理だけ手伝ってほしい」など、必要なところだけピンポイントでサポートしてもらえます。
利用には介護保険が必要であるため、介護保険をお持ちでない方はお住まいの地域包括支援センターへお問い合わせください。
生活援助でできること(例)
- 掃除(居室・トイレ・浴室など)
- 洗濯・洗濯物干し
- 買い物代行
- 調理
※医療行為は対象外

基本的に介護力のある同居家族がいる場合は利用できないため、利用対象になるかケアマネジャーに確認しましょう!
おすすめサービス②:配食サービス

配食サービスは、栄養管理されたお弁当を自宅に配達してくれるサービスであり、調理の家事負担を減らす方法としておすすめです。
週に1回、1日1食だけ、おかずのみなど柔軟に利用可能です。
配食サービスは、調理・買い物・後片付けが不要であるのはもちろん、配達時の声掛けや安否確認サービスがある事業所もあります。
おすすめする人
- 料理が負担になり、食事の回数や量が減ってきた人
- レトルト食品や菓子パンに頼りがちで、栄養バランスが乱れている人
- 安否確認をして欲しい人

お試し注文ができる場所もあるため、事前に問い合わせるのをおすすめします!
おすすめサービス③:家事代行サービス

家事代行サービスは、掃除や片付け、調理などの日常的な家事をスタッフが代わりに行ってくれるサービスです。
介護保険では対応が難しい家の片付けや庭のお掃除など、頼める範囲が広いのが大きなメリットです。
| 項目 | 介護保険の生活援助 | 家事代行サービス |
|---|---|---|
| 対象者 | 要介護・要支援の認定者 | 誰でも利用できる |
| できる範囲 | 本人のための 掃除・洗濯・調理・買い物に 限られる | 幅広い家事に対応 (家族の分の料理・掃除もOK) |
| 利用制限 | 時間、内容に制限が多い | 時間・内容・回数を 自由に設定できる |
| 料金 | 45分以上220円(1割負担の場合) ※地域によって料金異なる | 1時間2,500〜5,000円前後 |
おすすめする人
- 庭木の手入れや庭の掃除など、介護保険では対応できない家事を頼みたい人
- 介護保険を持っていない人
- 利用回数を気にせず利用したい人(介護保険では、利用回数に制限あり)

生活援助で足りない部分を、家事代行で補うと良いでしょう!
まとめ|できるところから、親の家事負担を少しずつ減らそう

- 小さな工夫で事故リスクを減らす
- 家電の力を借りて、作業そのものを軽くする
- 配食や生活援助など外部サービスを利用する
高齢の親が家事を大変に感じ始めるのは、誰にでも起こります。
体力の衰え、痛み、認知機能の低下が重なり、今まで通りが難しくなるのは自然な流れです。
家族がすべての家事を肩代わりすると、負担が大きくなるため「親御さんが無理なくできる形に整える」 ことをおすすめします。
今日できそうなことを、ひとつだけ選んでみてください。
「物干し竿の高さを変える」「配食を週1回だけ申し込む」「見守り家電を検討する」
どんな小さな一歩でも、それが未来の安心につながります。
できるところから、無理なく始めてみてくださいね。

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